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岩子島
【いわしじま】


尾道水道を隔てて尾道市の南対岸,向島からは狭い御幸瀬戸を隔てて西側に位置する島。全島御調(みつぎ)郡向島町に属す。面積2.43km(^2),人口1,116(昭和50年)。全島中生代の白亜紀の広島型花崗岩に覆われる。南は海上交通の主要ルートである布刈(めかり)瀬戸があり,北には尾道糸崎港がある。島域はほぼ四角形で,かつて農業と養蚕の地であった中央の谷間を挟んで東部と西部で南北に走る山系がある。東部の山系では北の標高118mの岩岳が目立ち,山地は北岸の矢ノ浦鼻に延びる。西部の山系では北の西岩岳,南の殿山がある。西に大鯨島・小鯨島があって,「芸藩通志」によれば岩子も旧名は鰯であったという。向島の北西の尾道瀬戸に面した海面を古く牛ノ浦とよび,そこから南下する現在の御幸瀬戸を牛ノ瀬戸・岩子島瀬戸と呼んだ。昭和43年,瀬戸の南部に農免事業による向島大橋が架設され,同年の尾道大橋の架設と合わせて,本土とつながった。向島大橋の岩子島側の南には今世紀の初期頃に操業していたという住友銅山の製錬所跡があり,今は柑橘園で,鉱滓の残りが海面に小山となって残る。同製錬所は別子銅山の鉱石を木造船で当地へ運び,コークスを使用して精錬していたといわれ,硫黄を含んだ煙が津部田(対岸の向島側)へ流れ,麦や桑,松などに被害が生じたため,農民が反対運動を起こし,村長は辞職した。数年で操業を中止し,水島の沖の方へ移転したというが,四阪島の工場建設がその後に行われた。工場跡には鉱滓で固めた堤防も残る。島の中心は北東部にあり,柑橘・蔬菜栽培などが行われる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7187716