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大山峠
【おおやまとうげ】


東広島市八本松町の宗吉と飯田の境にある峠。曽場ケ城山北麓の鞍部に位置する。標高350m。古代山陽道はこの峠道を通ったと考えられ,「延喜式」には木綿(ゆう)駅と荒山駅との間に大山駅があり,峠付近に古馬山の地名が残り,駅比定地の有力地である。また,関の清水や関平山の地名もみえ(芸藩通志),中世以来大宰府官道を踏襲した西国街道の主要峠に設置されていた関所跡と考えられる。享和2年の菱屋平七の「筑紫紀行」に「是より安芸の大山とて山道を登る。半里計にして峠に至る。海山を見晴して眺望に心目を楽しめ,木陰の清風に襟を披き身を休めて,しばしありて三十丁計下れば人家二軒あり。十丁計行けば飯田村」とある。峠の両村界(現在の大字界)には一里塚があり,飯田村側に1根4幹の男松が,宗吉村側に同じく女松があったとされ,八本松の地名の由来となった。近世には参勤交代の大名や往来の人々に峠の茶屋が設けられたが,現在では全くの山道となり,清水と街道松が往時をしのばせる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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