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岡本池
【おかもといけ】


福山市金江町藁江(かなえちようわらえ)にある池。堤高8.5m,堤長60m,水面標高約40m,有効貯水量2万2,000m(^3)の灌漑用溜池。岡本池の下流にはさらに,梅木鞘(うめのきさや)池・楠木池が連続し,3池を合わせた灌漑面積は80ha。管理者岡本池掛り。付近一帯は少雨地帯で,塩田とともに干拓による沿岸低地の拡大に伴い農業用水は不足がちで,下流部諸村落の低地はおもに塩田,背後の山地には棚田が展開し,古くから溜池を水源として稲作と藺草の栽培が行われていた。文政2年の岡本池碑によれば,福山藩領内沼隈郡藁江村に古くから3つの池があり,下流の藁江・金見・柳津(やないづ)3村の水田を灌漑していたが,干天時には水不足が生じるので,文政元年3月,藤江村の豪農山路右衛門七が,同家の年寄松兵衛と相談したうえ,私財を投じてこの3池の間に新しく池を設け,以来用水が潤沢となり,旱魃の心配がなくなったとある。そしてさらにこの新池を右衛門七の屋号をとって,岡本池と呼んだという。文政9年,右衛門七は岡本池のほとりに通行人を休ませる茶の無料接待所を建てており,その費用として藁江村字大新田の田1畝16歩と同地辻堂の田8畝29歩をあてがわれている。岡本池のある谷は,金江から赤坂,瀬戸を経て福山城下に至る最短路に当たり,幅は1.5~2mの山路で,藁江峠と呼ばれていた。現在舗装拡張されている。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7188067