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冠山
【かんむりやま】


県内に同名の山が多く,区別して久地冠山の名で呼ばれる場合もある。古老は「かむりやま」とも称す。広島市北西の安佐北区安佐町久地にある山。標高573m。黒色千枚岩および粘板岩を主体とする古生層の地質をもつ。北東~南西方向の断層に挟まれ,北東の本串山や南西の尻高山に連続する山塊に含まれる。北東の本串山とは太田川で切断され,絶壁となる。西は宇賀峡が深く刻み込む。「冠山,久地村にあり,形似たるを以名づく」(芸藩通志)とあるように,断崖上に丸くせり出す山頂は冠を載せたような山容である。北斜面断崖の中腹に冷泉が湧き,湯治客も多かった。浅野藩の絵師岡岷山の「都志見往来日記」にその存在が筆されている。古老の話では,2~3軒の茶屋もあったらしいが,昔の話となった。癩病治癒の礼札もあったという湯神への信仰は今も伝承されている。小祠は山麓に移され,土地の古老の手で大切に祀られている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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