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冠山
【かんむりやま】


山県郡千代田町と広島市安佐北区可部町地区の境にある山。標高735.7m。南原峡県立自然公園のうち。北に大掛山,南には堂床山が連なる。南斜面からは太田川支流の南原川,北斜面からは江の川(ごうのがわ)支流の冠川を発する。山頂付近は岩山となり,植生は貧弱で笹や灌木林,中腹以下は松の造林地である。山頂には,人が乗れば動揺する揺ぎ岩が古くから知られ,また山頂の北側鞍部には江戸期,広島と浜田を結ぶ官道石見街道の難所であった可部(かべ)峠がある。海抜30mの可部から650mの峠まで,南原峡を越え冠山南斜面の坂を登りつめた旅人が一息入れたのは峠の茶屋であった。明治17年,冠山西麓の明神峠を越える県道(現国道261号)が開通した後も千代田と可部をつなぐ最短コースとして大正末までは往来頻繁であったが,人馬以外通行不能な峠道は次第に廃れ,峠の茶屋も昭和初期に閉じられた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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