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冠山
【かんむりやま】


安芸冠山ともいう。県西端佐伯郡吉和村にある山。山口県の県境をなし,標高1,339mは県下第2位の高峰。西中国山地を別名冠山山地とするのはこの山の名に由来する。北東から南西走向の断層が発達し典型的な線状地形が見られる。山塊に直交する中津谷川が十方山と当山を穿入して渓谷をなす。山頂は標高1,100mの花崗岩や古生層からなる平坦面上に第四紀に2回にわたって噴出した橄欖石玄武岩と角閃石安山岩の溶岩でできた円頂丘火山がのる。1回目の玄武岩質溶岩は冠高原を生み,2回目の安山岩質溶岩が山頂の円頂丘を築いた。冠山と西冠山の2峰に分かれ,冠山のほうに三角点がある。山頂に近い登山道には高さ16mの仏像の形に似た拘留孫仏岩が古くから知られている。南麓の標高800mの冠高原は,「芸備国郡志」には波牟佐宇原とあり,戦前は高根高原・バンドー原とも呼ばれ厚い黒ぼく土に覆われた高原は戦後の開拓により牧場となり,春はレンゲツツジ(県天然記念物),わらび狩,積雪の多い冬はスキー場となる。一帯はアベマキ・チマキザサ・ブナ・アカマツに覆われる。広島からは県道が通り,2時間あまりで着く。中国自動車道の通過地。また冠高原にある冠遺跡は西日本を代表する旧石器・新石器時代の石器製作地として知られる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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