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草峠
【くさんだわ】


比婆郡高野町と島根県頓原町の境にある峠。西方の草ノ城山と東方の大万木山に挟まれる。標高940m。「芸藩通志」によると,この峠を「荒鹿山」とし「今上里原村の内に赤の谷といへるあり,或は荒鹿の転称にてもあるべきか」と記し,「出雲国風土記」飯石郡の条の「備後国恵宗の郡の堺なる荒鹿の坂に通るは丗九里二百歩なり」とする「荒鹿の坂」に比定している。江戸期には,芸州広島藩は恵蘇郡内に藩営の鉄山経営を指定し,大万木山の木は鈩に関する膨大な木炭利用のため乱伐されつくした。現在頂上付近はブナの原生林を残すのみとなり,一面平坦な草原と化しており,峠名もこの状況にちなむ。木地山川沿いには木地師も所在したとされ,島根県側の九十九折れの小径とともに草峠道は往時の主要幹線から離れていった。現在では林道の整備を目的とし,峠東辺に新しい自動車道が敷設され,両町間の時間的距離は著しく短縮されている。冬季は東方の王貫峠同様かなりの積雪となり,通行禁止の規制がなされている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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