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国兼池
【くにかねいけ】


庄原市上原町にある池。江の川水系国兼川上流に設けられた農業用溜池。堤高15.9m,堤長100m,集水面積0.75km(^2),有効貯水量149万m(^3)。農業用溜池としては広島県最大,灌漑面積143.5haで,池の周囲は16kmもあり,赤松を中心とした林に囲まれる。正保3年,谷川の水をせき止めて池を造成したが,梅雨時に堤防が決壊し,田畑流失,家屋倒壊等の被害を及ぼすこともあった。元来,この地方は藩内でも農業生産力の低かった所だけに,このような堤防決壊は地域住民の生活を一層困難なものとした。延宝3年には,木樋を石樋に改良することによって樋の周辺からの漏水,ひいては堤防決壊を防止した。この改良工事によって,周囲1.5km,受益面積53.5ha,田子(受益農家)61名という大池となったが,水不足を解消するには至らなかった。文久3年には2年の歳月をかけて,郡役所役人神川平助は,池の堤防のかさ上げ工事を,割庄屋善五郎,その子新平,上原村庄屋孝太郎等の協力および藩の出資によって完成させた。さらに三日市から上原への疏水路開削が計画され,その第1期工事として,2.5mの堤防のかさ上げ工事が着手されたが,地域農民の負担が重なり,ついに慶応3年,百姓一揆が起こり,神川平助は在任15年にして庄原を去った。これが,恵蘇郡百姓一揆で,神川騒動ともいわれる一揆である。この疏水路開削は,昭和24年に至ってようやく完成し,翌25年には国の開拓事業として堤防のかさ上げ工事がなされ,同28年完成,現在の規模となる。北部は研修農場となっており,中央部を中国自動車道が通過する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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