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芸北山地
【げいほくさんち】


広義には冠山山地,西中国山地ともいう。佐伯郡吉和村,山県郡の戸河内町と芸北町にわたり,県北西部の脊梁をなす標高900~1,300m,長さ60kmの山地。最高峰は恐羅漢山(1,346.4m)で,脊梁から広島湾に向かって北東に長い大佐山・恐羅漢山・冠山・羅漢山・大峰山の山々が並び,山列の間には我が国有数の北東方向の断層に起因する深さ300~400mの直線谷が発達する。山頂には十方山をはじめ飯山などに広い浸食平坦面が発達し,断層を境に広島湾側に低下している。太田川水系の名勝三段峡・滝山峡,小瀬川水系の羅漢渓谷は山列を横断してできた横谷で見事な峡谷美をみせる。山地は花崗岩・流紋岩・斑岩,古生層などが広く分布するが冠山(1,339m)だけは第四紀の火山活動を示す玄武岩・安山岩が分布する。年平均気温は10~13℃で沿岸部よりも2~3℃低く,夏涼しく雄鹿原盆地・八幡高原・冠高原などでは避暑地となる。冬は多雪で恐羅漢山・冠高原・大佐山をはじめとするスキー場が多く,広島から3時間と近く多くの人を集める。降水量も2,700mmと県内最高で,急峻な地形と豊富な水を利用して樽床・王泊・立岩・飯山など多くの発電用・用水用ダムが作られている。谷沿いには湯来温泉・湯ノ山温泉・羅漢温泉・岩倉温泉など温泉も多い。山陰とは国道186号・191号・261号で結ばれ,国鉄は三段峡まで可部線が通り,戸河内と吉和の間に中国自動車道の建設が進む。山地のうち285.5km(^2)が西中国山地国定公園に入る。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7188777