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膳棚山
【ぜんだなやま】


呉市東端にある野呂(のろ)山塊の標高700m以上には小起伏面が広がり,緩やかなドーム状丘陵が東西に3つ並び,そのうち最も高く,西に位置する山。かつては賀茂郡域であったが,現在西半は呉市,東半は豊田郡の安浦町,川尻町に属し最高地点839.4mを示す三角点がある。瀬戸内海国立公園に属す。高田流紋岩類岩石よりなり,地形学的には賀茂台地中に突出する野呂山塊のピーク。中国地方の高位平坦面に相当する残丘とも考えられる。小起伏面部には岩塔・岩海・岩塊流が多くみられるが,膳棚山付近は東側のドーム状丘陵に比してそれが少ない。「呉市史」によると,江戸後期より開拓が始まり,一時中断したが第2次大戦後再び開拓団が入植し,ダイコン等高冷地野菜栽培を始めた。しかし,生活条件の悪さや野菜の病気等から行詰まり,昭和30年代後半より観光開発が本格化した。現在,付近一帯は民間資本による開発が行われ,すべり台・ジェットコースター等多くの遊技施設がつくられている。三角点近くにはNTTのマイクロウエーブのほか,かつて瀬戸内海を航行する人の目印になったという一本杉があり,地名にもなっている。また,北山腹にあった江戸期の開拓集落勧農坂より移された野呂神社がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7189501