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畳山
【たたみやま】


山県郡の北部,大朝町・芸北町,および島根県瑞穂町との境にある山。標高1,029.0m。流紋岩からなり,西に阿佐山・天狗石山など標高1,000mを超す県境の山々が連なる。阿佐山にかけての稜線沿いは江戸期から明治にかけて砂鉄採取が活発に行われた所で,山肌を掘り崩した跡の凹地,土砂を洗い流して砂鉄を選別した水路・池の跡が至る所に見られる。また,南麓の芸北町大谷にはこの砂鉄を精練する鈩所が設置されていた。砂鉄の採取は大量の土砂を洗い流す必要があるため,土砂の流出,濁水による被害が下流農村に続出した。そのため,鉄穴流しの時期は秋の彼岸から春の彼岸までとされたが,なお被害の発生があるので,藩政末期には下流の14か村に駄賃銀と称する見舞金を出したという。畳山一帯はブナを主木とする落葉広葉樹林であるが,山林開発のため,林道が大朝および大谷から通じ,落葉樹林は伐採されてヒノキやスギの造林事業が進む。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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