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契島
【ちぎりしま】


竹原市南沖合いの生野島の西約400mにある島。生野島とともに豊田郡東野町に属する。周囲は1.28km,面積0.06km(^2),118世帯,303人。明治32年銅の製錬所ができ,昭和10年昭和鉱業が硫酸工場を島内につくり,竹原に電錬工場を新設して営業した。同17年硫酸工場は帝国鉱業開発に,電錬工場は同18年に現在の三井金属に買収された。さらに前者は昭和25年に東邦亜鉛に買収され,同社の対州鉱業所との関係で鉛製錬を目的に再出発することになった(現在は豊保・見立以外に豪州やボリビアも関係)。また,現在は島を工場や関係住宅で固め,竹原と白水を社船で結び,東野からも通勤者があり,軍艦島の称がある。福本清著「大崎上島東野村史」上巻によれば,当島の初見は享保6年の差出帳にみえる5石6斗の年貢米上納の記録で,田畑の面積は下下畠として概算すれば約2.8反程度であろうという。「芸藩通志」では知幾利とし,先掲「大崎上島東野村史」によれば明治32年までは北の稲荷山と南の煙突山の間が切れており,満潮時には漁船や釣船が自由に航行していたが,製錬所の建設で双方の山を崩して1島につないだという。ちぎりの名称も,稲荷山と煙突山がちぎれた形に見えたところからきたのかもしれない。なお,契の字は明治になってから使用され始めたようである。




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「角川日本地名大辞典」
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