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富士山
【とみしやま】


登美志山・鳥巣山とも書いた(芸藩通志)。双三郡吉舎(きさ)町にある山。標高471m。吉舎市街の東北方にそびえる。国土地理院発行の5万分の1地形図では「とみすやま」とあるが,地元では「とみしやま」と呼ぶ。山姿は円錐形をなし,富士山に似るところから備後小富士として古来親しまれている。承久の昔,後鳥羽上皇が隠岐島に配流される途中,吉舎に立ち寄り,この山を賞覧したという。「芸藩通志」には「後鳥羽帝 吉舎より この山を賞覧し給ひしといふ」とある。その時の歌として,「知らで見ば富士とやいはん備後なる登美志の山にかかる白雪」などの歌が伝えられている。第2次大戦前まではマツが茂っていたが,頂上付近は展望が開けていた。「頂上更に一峰を抜つ 大丸山といふ 是亦郡の望山なり」(芸藩通志)とあるように,晴れた日には,島根県境の比婆山連峰や南部の世羅台地を遠望することができる。戦後は植林により山頂からの眺めが妨げられるようになった。毎年,元日には地元の人々が五穀豊穣と家内安全を願って登山する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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