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豊島
【とよしま】


芸予諸島の一部で,呉市から東に延びる蒲刈諸島の東にあり,豊田郡豊浜町の大部分を占める島。面積5.45km(^2),人口3,716(昭和50年)。東の大崎下島との間の豊島瀬戸から斎(いつき)島を囲む県管理の第2種漁港がある。北・西・南に3峰をもつ島山で,平地はほとんどなく,中心集落は島の東側で,北から南へ豊島瀬戸に面して,山崎・小野浦(役場所在)・内浦がある。南の斎灘に展開する冬のあび漁など県下では水産業が最も盛んで,北九州近海や別府湾などに出漁し,盆と正月,祭礼時に帰島する。そのため,島には義務教育の子弟を預かる学寮がある。しかし,全体的にみられる急傾斜地には柑橘園が広がり,町の収入も農業が水産を押さえているのが現状。島の西の上蒲刈島との間にある大浦瀬戸同様に,東の豊島瀬戸も4ノットの潮流でかなりきつく,水深も30~40m台に及ぶ。「芸藩通志」は江戸末期に200石以下64艘の船を記している。島全体は離島振興対策事業地域であり,呉市を中心にした倉橋島から大崎下島に広がる呉広域市町村圏に所属する。県下有数の漁業地域であるが,急傾斜ながら柑橘の生産も漁業生産と相半ばしており,観光農業,栽培漁業,あび漁の観光化,大型船による静岡・鹿児島・長崎への出漁なども将来の指針となっている。島の北3分の1は流紋岩,南部の中央部に古生層の粘板岩・砂岩などがあるほかは広島型花崗岩で占められる。昭和52年に安芸灘水道用水供給事業が完成し,太田川の水が上水や柑橘の防除にいっそう役立つことになった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7189968