那智ノ滝
【なちのたき】

比婆郡西城町熊野にある滝。島根県境をなす標高1,200m級の雄大な比婆山連峰の南端，竜王山（1,256m）の南側斜面に懸かる。熊野川に落下する支谷は，幾段もの遷急点を生じ，この滝が最大となる。標高740mの地点に懸かり，20mあまり落下するが，水量が少ない。下方約1kmに鎮座する熊野神社（もと比婆山神社）とともに，比婆道後帝釈国定公園に編入されている。島根県出雲市から通じる中国自然歩道は，竜王山の野営場から那智ノ滝・熊野神社を過ぎて帝釈峡に向かう。周辺には，国天然記念物である熊野の大トチや比婆山中のブナ純林，県天然記念物である熊野神社の老スギ，熊野川のゴギ（地質時代寒冷期の残存種として陸封された魚）などの自然に恵まれ，雄大な中国山脈への入口に当たる。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7190113