100辞書・辞典一括検索

JLogos

6

並滝寺池
【なみたきじいけ】


別名小原(おばら)池ともいう。東広島市志和町志和東にある池。黒瀬川上流部に設けられた灌漑用溜池。堤高18.9m,集水面積1.03km(^2),水面標高約400m,有効貯水量59万8,000m(^3),灌漑面積200ha。元来,西条盆地の溜池総数は430個(1km(^2)当たりの溜池数4.5個)で,広島県で最も溜池密度の高いところであるが,この中でも並滝寺池は西条盆地最大の受益面積を持つ溜池である。使用者寺西土地改良区。池の北西に並滝寺(天平5年創建,大永5年兵火)の古刹があり,これよりこの池の名がある。寛文10年の築造で,当時,堤長72間,根置18間の構造であった。下流部の,かつての篠(ささ)・正力・米満・寺家・西条東・下見の6大字掛りの大池。寛文13年9月の篠村(池元)庄屋と他の水下5か村庄屋との間の並滝寺樋,堤守の件に関する取交し証文には,下見村はなく四日市の名がある。天和3年に立樋,元禄4年に底樋,宝永4年・享保8年に立樋の入替えを実施。宝永4年2月には並滝寺池樋替入費の支出に関し,先の6か村のほかに志和東村庄屋を加えた7か村連名で代官宛願を提出した記録がある。志和東村から並滝寺へ上る峠を浪人峠という。その昔,志和東村が浪人を使ってこの峠を掘り,志和に引水を試みたが,他の水掛り6か村の反対に遭い,その後この峠を浪人峠と呼ぶ。明治6年には池元の篠村と水下5か村(正力・米満・寺家・西条東・下見)との間に,泥はきナンマンの開樋を巡る対立が生じている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7190125