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二本松峠
【にほんまつとうげ】


比婆郡東城町川東と岡山県哲西町大竹の境にある峠。東城・神代両河川の分水界で,備中・備後国境にある。標高390m。古くは2本の松があり峠名もこれにちなんだが,現在1本は枯死した。得能家蔵の江戸後半期と伝える「芸藩内全図」や「福代村絵図」によれば,藩政時代に備中(新見)路の峠付近に,御境杭木と称する木製の門が設置され,南側に一対の柱状国境碑がたてられ,西側には広島藩の番所が所在していた。碑の1つには,表に「従是西備後国」,裏に「奴可郡福代村」と,他の碑には表に「従是東備中国」,裏に「哲多郡大竹村」と刻まれ,北側には奴可郡代官の頼杏坪の建立と伝える碑も所在した。備中国境碑以外は,明治以後の払下げで東城町内の寺院境内に移設されている。番所は請負制の百姓番で,給米と紙・灯油・薪代が支給され(国郡志書出帳),番人は請負元の依頼を受け,交代で勤番し,福代村を給知された家老の三原浅野家から年2回巡検を受けていた。安政3年8月付の御番所御壁書(郡務拾聚録)には,郡奉行による百姓番の服務心得が明記されている。これによると「公儀御荷物」「御大名衆并御直参衆」「行疲候旅人并病人等」「疑敷相見候もの」等の規定が載り,明治元年11月からは,「公儀御荷物」は削除され「御大名衆并御直参衆」は「朝廷御役人」と改められた。若山牧水の歌碑「幾山河越えさりゆかば」も沿道にあり,国道182号が現在新見~福山間連絡のため開設されている。国鉄芸備線および中国自動車道も峠付近に設置され,東西交通の根幹となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7190270