能美島
【のうみしま】

広島湾の南に位置する島。佐伯郡の沖美町・能美町・大柿町に属す。島中央部の中町（能美町）と鹿川の南北方向に発達する谷底地を境として西能美島と東能美島に分けられる。東は飛渡瀬で江田島に続く。西能美島は宇根山を最高峰とし，北に標高400mから500mの峰が続く。この山地は古生層の粘板岩や砂岩の地域と一致しており，下層の花崗岩のルーフペンダントとなっている。山地の周囲には差別浸食による花崗岩からなる山麓緩斜面が発達している。東能美島は真道山を中心に中起伏の北部山地と陀峰山の南部山地とからなり，中央部には大原の谷底平野がみられる。集落は北岸に三高・美能，西岸には北から是長・畑，中央部には湾入をもつ鹿川・大原・深江，東岸は江田島湾に面して，高田・中町，江田島との接続部に飛渡瀬，南部の柿浦・大君がある。すべて集落は海岸に立地し，漁港，港湾をもつ。漁業はカキ養殖を中心に沿岸漁業が営まれる。農業は平地部が少ないので傾斜地を利用してミカン栽培が行われている。能美町では花卉栽培も行われる。フェリーなど海上交通の発達や東の倉橋島との間に早瀬大橋が架かり，陸上交通も発達し，呉・広島への通勤圏に入った。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7190323