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野貝原山
【のかいばらやま】


「のがいはらやま」とも呼び,野貝山ともいう。さらに最近では古名の「のうが」という呼び名をとってのうが高原としても知られる。廿日市市の北西部で同郡佐伯町との境界付近にある山。最高地点は733m。角閃石・黒雲母花崗岩閃緑岩および石英閃緑岩よりなる。地形学的には佐伯高原に属し,山頂付近には吉備高原面に対比される高度700m前後の浸食小起伏面が東西に長い楕円形に広がり野貝原と呼ばれてきた。その中央部は盆地状をなし,ここには湿原があり湿原植物群落や泥炭層が分布していたが,現在,湿原の大部分は人造湖に変わっている。また,この小起伏面部には岩塊流もみられたが,大部分が人工的に改変されている。山腹は,南および東側が急傾斜で巨大な岩塔や露岩が多くみられるが,北および西側はやや緩傾斜である。「廿日市の文化」第1集によると,野貝原において近世末期と明治中期に大きな山論(境界紛争)があった。近世末期の場合は南側の宮内村での新開地拡大に伴って柴草がより多く必要となり,それまで数村の入会地的性格をもち広大な採草地であった野貝原に意識的に境界を設定しようとして北の玖島村との間で発生し,明治中期の場合は地租改正事業の進行に伴う官林未定地の所属決定等をめぐって生じたものである。現在,野貝原の地は観光地として開発され,展望浴場をもつホテルや子供遊園地・サーキット場・牧場・キャンプ場等の多くの施設が建設され,年間35万人が訪れた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7190330