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火野山
【ひのやま】


日野山とも書く。古称は火山・樋山(芸藩通志)。山県郡の東部,大朝町と千代田町の境にある山。西方の一角は同郡豊平町にもまたがる。標高705.4m。山頂からの眺望は良く,北は島根県境の山々から大朝・新庄の盆地,南は八重・志路原の盆地が一望できる。戦国末期,この山には吉川氏の居城火野山城が置かれた。毛利元就の子元春が吉川氏の養子となり,天文19年居城を新庄の小倉城から移して以来,広家が出雲国富田城へ移るまでの3代約40年間にわたる居城であった。城の遺構は山頂から山麓にかけて広範囲にわたる。山頂の本丸を中心に尾根を削平,盛土して東西700mの範囲に郭を配列,また東麓中山からの大手道,西麓舞綱(もうつな)および海応寺への搦手道に沿って浄必寺・万徳院等の寺院跡,海応寺の元春居館跡などがある。これらの遺跡は現在松や落葉広葉樹の雑木林に覆われ山に登る者もないが,随所に石垣も残り,要害の地を利用した大規模な山城の姿をしのばせる。江戸期,東麓の中山は広島と浜田を結ぶ官道石見街道の宿駅としてにぎわい,伝馬15匹が置かれた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7190602