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めぐみ池
【めぐみいけ】


徳(めぐみ)池とも書く。三原市小坂町皆井田(みないだ)にある池。みないだ池とこぶけ池の2池からなる。池名は,広島藩の儒学者頼杏坪によって名づけられたものである。小坂町は当時,豊田郡小坂村といい,用水不足の村であり,「めぐみ池古文書集」の文政五年覚には,「当村之儀者延傾キ田畑共小町勝チニテ畦多岸高ク作業之手間ヲ費シ候村柄ニテ川筋者本川壱筋小川三筋御座候処何レモ当村限リ之水源ニテ流水少ク夏分ハ涸ヲ川ニ相成平年専ラ淫雨ヲ好ミ候地合ニ御座候」とある。所在地の皆井田は,水無田に起源するものと推測される。みないだ池・こぶけ池の両池は,庄屋の平之丞・長之助の父子によって造られた。父の平之丞は用水不足を緩和しようとして藩へ嘆願の末,安永7年両池を完成させた。しかし,なお用水不足は解消されず,父の後を継いだ長之助は,文化9年両池の改修拡張工事に着手。まず,みないだ池の池底を掘り,堤防のかさ上げを行って,溜池面積を1反7畝12歩から5倍の8反3畝に拡張し,さらに160間の導水路を新設して大水の際の余水を取水した。さらに翌文化10年には,こぶけ池の改修に着手し,同様に溜池面積を1反5畝から5反3畝へと拡大し,堤防決壊防止のための余水吐も設置。文化10年,長之助はこの功を認められて永代割庄屋となり,田坂姓を名乗ることを許されたという。文政7年には,みないだ池の堤防に平之丞・長之助父子の功績をたたえた頌徳碑が建立された。平之丞は文化元年に62歳で,長之助は天保5年に68歳で没した。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7191240