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横山
【よこやま】


佐伯郡西部,山口県境に近い佐伯郡佐伯町浅原にある山。西方約4kmの羅漢山を主峰とする1,000m級の山塊の1つ。東斜面は湯山断層が走り,急斜面で標高400mの佐伯高原に落ちる。西側は花崗岩からなる標高約800mの小起伏面が羅漢高原に続く。小起伏面上に突出した粘性の溶岩は丸くもりあがり円頂丘を形成。地質は橄欖石玄武岩や角閃石安山岩。南北3kmに延びる尾根には牛ノ首山・栂尾(つがお)山・青木山・迫ケ谷山と名づけられた岩峰が並ぶ。古老によると,青木山にある巨岩の割れ目に湧く清水は傷を癒す力があると信じられ,賽銭を供える人も多かったという。北側にある松ケ峠(まつがたお)は津和野街道のあった地で,目下,中国自然歩道として再現中。往時,山林は水田の堆肥や薪炭材に利用される入会野山であった。切り残されたアカマツだけが生育する結果,有名な浅原の松の産地が形成された。山頂のアカマツの老樹は,遠く広島宇品港からも見定めることができたので,当地の出征兵士はこの松を見納めに郷里に別れを告げたという。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7191482