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論山堤
【ろんざんてい】


高田郡向原町坂にある池。面積2ha,水深は最大6mで平均3m。堤長約230m,大土山の標高540mの地点にある。江戸期当時高宮郡坂村にあって,尾原地区は常襲的な旱魃地であったという。庄屋の喜久なる人物が,大土山(800m)の谷に池の築造を企て,適地を調査。その結果,峠近くにその場所を求め,村人を説得して築造に着手。1年後の享保3年1月にこれを完成させたという。論山の名は,付近が隣村との論争地であったことによると推測される。彼はまた尾原までの導水路も築造したという。尾原に尾原堤と呼ばれる小池があり,現在の水利慣行では尾原堤の貯水がなくなると,上流の論山堤から送水することになっており,尾原堤はいわば調整池の役割を担っている。かつて年貢米輸送時には,論山堤の水を三篠(みささ)川へ落とし,その水流で舟を容易に流下させたという。尾原堤の池の中の中島には,庄屋喜久を祀った喜久神社があり,毎年盛大な祭が行われている。論山堤の南西方には,滝の観音がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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