厚島
【あつしま】

豊浦郡豊浦町川棚に属し，松谷漁港の北西約２kmの響灘に分布する小島群の総称。同港の北西約1.5kmに男島，その北西100mに女島，その沖200mに竜宮島，くい瀬などの岩島が分布する。これらのうち，特に男島と女島を合わせて厚島と呼ぶ。面積は男島3,200m(^2)・女島1,000m(^2)・竜宮島100m(^2)，最高点は男島ではほぼ中央の三角点で84.8m，女島40m，竜宮島42m。いずれも中生代白亜紀の黒雲母花崗岩からなり，本土側の小串や川棚一帯の丘陵地と同じ花崗岩の沿岸島である。硬い岩体をなし，周囲は10～30mの海食崖を巡らすが，北西季節風のあたらない男島の北端・南西端にわずかながら砂浜海岸が見られる。「村浦明細書」川棚松谷浦の条に「銀弐枚　厚島・女島両立山運上銀」とあって，男島のみを厚島と呼ぶこともある。同書川棚下村の条に「銀拾匁　八十文替　厚島山番畠開作反別銭」などとあることから，山番を兼ねた出耕作の居住者がいたことがうかがえる。周辺は好漁場で，江戸期から漁場を巡る論争が繰り返され，同書川棚松谷浦・小串浦の条から，周辺には多くの大敷網代があり，両浦の入会漁場であったことがわかる。男島西岸には文化・嘉永年間の海難者の供養塔４基がある。近年磯釣りやキャンプ，海水浴の観光客が増え，７・８月には松谷漁港と小串漁港から連絡船が出ている。竜宮島には竜王社があり，川棚北八幡宮から出て島回りをする雨乞祭で知られる。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7191736