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笠戸島
【かさどじま】


下松(くだまつ)市笠戸島に属し,笠戸湾を形成する周防(すおう)灘に浮かぶ島。面積11.66km(^2)。北端の瀬戸と本土側の宮ノ洲鼻の間に笠戸大橋が架かり,島内の深浦までバス路線が通じる。沈水島であるため,小湾入の多い複雑な海岸線をつくり,小湾頭には本浦(笠戸浦)をはじめ,尾郷・江ノ浦・小深浦・深浦・東風ケ浦など12の小集落が立地する。地質は,島の中央部の白浜・江ノ浦・小深浦付近は白亜紀の黒雲母花崗岩があらわれ,やや低く丘陵性の地形をなすが,大部分は領家変成岩類に属する黒雲母縞状片麻岩からなり,浸食が進んで小山地に分かれ,標高200m前後の小起伏山地となっており,最高点は南部の高壺山255.8mである。広く造船の島として知られ,戦後の最盛期(昭和47年頃)には15万t繋留岸壁や3台の大型船渠をもち,9万tタンカーを建造した実績をもつ。江ノ浦・大松ケ浦・小深浦には270戸に及ぶアパートなどが立ち並んで,島の景観も大きく変わった。しかし現在では不況の影響で,造船の鎚音も消えようとしている。近年の人口推移(センサス人口)をみると,昭和35年4,061人,45年3,456人,50年3,640人,55年2,851人で,最近10年間の人口減少が著しい。瀬戸内海国立公園の一部をなし,島の半ばを占める緑濃い自然休養林や国民宿舎・勤労総合福祉センター・州鼻公園・長岡外史公園・キャンプ場・海水浴場があり,周南都市群の近郊保養観光地となっている。また磯釣りや船釣りでも知られ,春のカレイ・アイナメ・メバル,夏のアジ・キス,秋のチヌ・タイ・スズキの好漁場に恵まれている。本浦の下松市栽培漁業センターでは,ヒラメやアワビが養殖されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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