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片島
【かたしま】


大島郡東和町油宇(ゆう)に属し,油宇港の南東約2kmの伊予灘に浮かぶ島。片山あるいは片山島ともいう。面積0.659km(^2)。無人島。対岸の鯛ノ峰の山麓の海岸との間は約700mの片山瀬戸で,特に干潮時に潮流が早い。最高点は216mで,100m以上の高所は新第三紀の輝石安山岩からなり,急斜面を巡らす円錐状の地形となり,基盤は領家変成帯の片麻状花崗閃緑岩で,南東に細く標高約60mの小半島となって延びている。西岸は大部分が高い海食崖をなすが,東岸には所々に砂浜海岸が見られる。「地下上申」には「片山島 但東西八町程,大滝鼻より池ノ浦之鼻迄,南北五町程,網懸ケノ鼻より長されの鼻迄 右島大廻り三拾町程,尤田畠人家呑水共ニ無之」とあり,また同書油宇村由緒には「片島 但此島之南沖ニ次之潟有之候故,かた島と名付候由申伝候事」と島名の由来を記すが,江戸初期油宇の片山氏が渡島して開拓したともいう(東和町誌)。「注進案」には,「人家田畠等無之草山ニ而牛飼草肥し草等刈取仕候事」とあり,油宇村の草刈島あるいは薪島であった。島内の池ノ浦には潟湖性の池水もあり,江戸期に何回か開拓が試みられたが,鼠害などのため離島。第2次大戦後も10余人の入植者があったが,まもなく引き上げた(東和町誌)。近年野生の山羊が約100頭ばかり自然繁殖しているという。近海はハマチなど一本釣りの好漁場で,油宇港からの遊漁船が多い。瀬戸内海国立公園の一部。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7192368