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甲島
【かぶとじま】


玖珂(くが)郡由宇(ゆう)町と広島県大竹市に属し,由宇港の北東約12.5kmの安芸灘に浮かぶ島。興島とも書かれた(芸藩通志)。面積0.2km(^2)。地質は白亜紀の黒雲母花崗岩からなり,低い丘陵性の地形をなすが,中央に最高点101.8mの岩峰をもつ急な鉢ケ峰がそびえ,島形が兜のように見えるところから名付けられた。慶長国絵図ではすでに安芸・周防(すおう)の国境線によって二分されており,文化3年の佐伯郡廿ケ村郷邑記(大竹市史)に「西南平は岩国より壱番網ヲ入,北東ハ阿多田より壱番ヲ入ル事古形也」と記され,甲島周辺の漁場に関して阿多田島(広島県大竹市)漁民との間に古くから成立していた慣行によって島が二分されたものと思われる。「玖珂郡志」には「海土路辺ヨリ柴草ヲ取」るとあり,由宇組に属した海土路(みどろ)邑(岩国市)の草刈島であった。戦時中は海軍要地であったが,戦後再び由宇町有地として返還された。定期船はなく,無人島だが山羊や牛の放牧場として利用され,西斜面に牛舎がある。周辺の海域はタイ・スズキなど一本釣りやイワシ船引き網の好漁場である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7192406