100辞書・辞典一括検索

JLogos

41

干珠島
【かんじゅじま】


下関市大字豊浦村に属し,串崎の東1kmの関門海峡の東口に浮かぶ島。面積0.017km(^2)。最高点は13m。東方1.5kmに満珠島がある。地質は,黒雲母花崗岩からなる。満珠島とともに忌宮神社(下関市)の飛地境内で,原生林がよく保存され,国天然記念物。また,周防(すおう)灘北西端の島の少ない海域にあり,その景観から瀬戸内海国立公園の一部に指定されている。南端に小岩島の割岩が突出し,礫浜が取り巻き,北西端には小砂州が延びる。樹種は62科153種で,暖地性の植物が多く,西瀬戸内の原生的植生を示す。「日本書紀」仲哀天皇2年条に「皇后豊浦津に泊りたまふ。是の日,皇后如意珠を海中に得たまふ」とあり,「枕草子」にも「豊浦の島」として,干珠島・満珠島が記されている。また,「名所方角抄」に「奥津・平津とて二つ島有,干満二珠を納めらるゝとなり,みちひのしまと申なり,沖なるが満珠なり,汀ちかきが干珠なり」とある。このように両島に関する記述は古くからあるが,2島のいずれを当島にするかは諸説がある。忌宮神社蔵の鎌倉末期かと思われる忌宮神社境内図では,串崎に近い方を「平津島乾珠」,沖の方を「奥津島満珠」とする。江戸期の承応2年分知の長府藩領図である三郡之絵図では地を満珠,沖を干珠,慶安2年正保長門国絵図・寛文4年防長両国全図では地を干珠,沖を満珠,元禄12年元禄長門国絵図・享保3年周防長門国高都合色分図などでは地を満珠,沖を干珠とする。以後,宝暦年間以降現在の国土地理院地形図や海図に至るまで,地を干珠,沖を満珠としてほぼ固定するが,土地台帳や国天然記念物の指定などは逆になっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7192532