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菊ケ浜
【きくがはま】


萩市街地の西方,指月山から阿武川河口までの砂浜海岸。全長約1.6km。古くは,阿武の松原・こくりが浜・阿胡ケ浜とも呼ばれた。北長門海岸国定公園の一部。現在の菊ケ浜は,厳密には橋本・松本両河川による三角州そのものの海岸ではなく,旧砂州とその前面部の浜堤や被覆砂丘などで構成された砂質海岸で,前方に遠浅を伴う。汀線は指月山の付け根部分から弧状をなし,150m前後の幅をもつ砂浜が発達し,背後の砂堤に松林が植栽され,いわゆる白砂青松の景勝地をつくり出している。このうち,海岸の西寄りに菊ケ浜海水浴場が設けられ,東寄りの商港近くの松林の中には菊ケ浜土塁跡の記念碑がある。文久元年の対馬事件や,同3年の馬関砲撃事件は萩藩に大きな衝撃を与え,当時藩主の居城があった萩を防備するため,菊ケ浜海岸に6か所の大砲を並べる土塁が築かれた。この作業は短期間で行われたが,萩軍の赤間関への出兵で人手が不足し,留守を守っていた妻女の活躍が注目され,のちに「女台場」と呼ばれるようになった。菊ケ浜には,浸食防止のため,東側の約900mにわたって護岸工事が施されており,自然海浜を残しているのは西寄りの約500mだけである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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