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黒島
【くろしま】


岩国市柱島に属し,大島郡久賀町久賀港の北東約8kmの安芸灘に浮かぶ島。面積0.53km(^2)。柱島群島の1島。東側の明神ノ浦の斜面に集落が立地する。島は南北に長く,松山ケ鼻から吹上鼻まで約1.4km,東西は400~600m,最高点は樫山の標高117.4m。地質は,大部分は領家帯の古期花崗岩類に属する片麻状花崗閃緑岩だが,樫山高所を東西に横切って黒雲母縞状片麻岩があらわれている。丘陵性の地形で,島の周囲は狭い砂浜と小さい岬が交互に続き,特に東海岸には鳥小島と小島の2島が州でつながり,小陸繋島となって,カゲガ浦と明神ノ浦の小湾をつくる。「地下上申」の柱島村地下図によると,樹木はほとんどなく,草山の無人島である。「玖珂郡志」には,「本島ノ者共,予州又ハ島中島辺ヨリ牛ノ子ヲ買来リ,此島ニ放置,三歳ノ時,他所ニモ売リ,自分自分ノ遣牛ニモスルナリ。ツカイ牛ハ,銘々牛屋ニ置也」とあり,柱島の農家による牛の放牧場となっていた。柱島の人口増加により,天保元年入植が行われ,畑地として開発され(岩国藩諸証文帳),同11年御所務米銀御算用状(岩国徴古館蔵)には高18石8斗余と石盛された。江戸期を通じて岩国領で,柱島村の一部として由宇(ゆう)組に属した。黒島は柱島から岩国港への定期船が寄港している。島の周辺はタイ・スズキの一本釣り,サワラの刺し網やイワシ船引網などの好漁場で,年間約260tの漁獲をあげている。農業ではミカン園が多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7192740