100辞書・辞典一括検索

JLogos

12

蛇島
【さしま】


徳山市徳山に属し,徳山湾内に浮かぶ島。面積0.145km(^2)。無人島。地質は白亜紀の黒雲母花崗岩からなり,丘陵性の地形をなす沈水島で,最高点は76.2m。慶長国絵図には,徳山湾内に「すくも(粭)」島のすぐ北に並んで「佐島」が描かれており,元禄国絵図ではその位置からみて粭島と考えられる島に「佐島」だけが記されている。徳山湾岸に近く,小島だが徳山城下からもよく見える島であったと思われる。「地下上申」の徳山領栗屋村境目書に,「佐島之義は海中ニ有之候ヘ共当村之内ニて御座候,当村之義ハ地方ニて海ハ支配不仕候事」とあり,農業村の栗屋村には漁業権はなかったが,おそらく草刈島として当島を利用していたものと考えられる。また同書は,「佐島とハ海中え差出たる小島故か差島と申候」と述べている。「徳山市史史料」には佐島雨乞祈祷の記録があり,このため蛇島の字をあてるようになったと思われる。伊能忠敬測量の大図写とみなされる御両国測量絵図(毛利家文庫蔵)には「徳山村属蛇島」と記されている。明治期以降国有地(農商務省所管)となり,明治38年徳山町海岸に海軍煉炭製造所が設置され,海軍艦船が蛇島付近に停泊することが多くなった。島はほとんど海食崖に取り囲まれ,わずかに北西岸に砂浜があり,戦後の開発で,昭和46年まで宿泊設備などがあり,徳山港から船便もあったが,現在はない。南東岸は土砂の採取場となり,景観も大きく変わった。昭和38年,与謝野鉄幹の「彼のあたり二十の前の我を知る蛇島仙島黒髪の島」の歌碑がたてられたが,採石場となったため,昭和46年大島半島の大華山頂に移された。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7192955