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大正洞
【たいしょうどう】


美祢(みね)郡美東(みとう)町にある石灰洞。佐山ポリエ南西端に位置し,奥秋吉台の真名(まな)ケ岳北麓に開口する。洞口部分を不忍(しのばず)ノ穴・牛隠しノ穴ともいう。戦乱の時に里人が牛を奪われることを恐れて隠したという部分は洞口の約100m(^2)にすぎないが,その奥の大石灰洞は大島金蔵・政一父子により大正10年1月に発見され,大正洞と命名された。西秋吉台の鷹ケ穴と同じ中位石灰洞で,高天(たかま)ケ原・極楽・牛隠し・地蔵・奈落と呼ばれる数段の連続した洞穴群から構成される立体的竪横複合洞。大正12年3月,国天然記念物に指定された。洞口は標高159mで北面し,これを入った西方に牛隠しの小広間がある。入口付近は迷路状で,東へ行けば地獄と呼ばれる下層への竪穴部分になる。牛隠しから狭い通路を約50m進むと標高170~180mの極楽に出る。北西~南東方向に約150mで最大幅20mの水平洞があり,二次生成物が発達している。石灰華滝のナイヤガラの滝・音羽の滝・尾上の松,特異な鍾乳石のまとい岩・天蓋,異型の石筍獅子岩など傑出した景観に富み,扁平状の石筍とケーブパールのある蓮池は有名である。下層は地獄と呼ばれる標高160~120mの部分で,最深部の奈落には地下水流がある。牛隠しから極楽への通路は狭く,おろち天井というアンダートレンチが発達する。牛隠し洞と極楽洞は昭和31年11月に照明施設が完成。同45年には観光客の増加で極楽洞の北西部に出口用のトンネルが設けられた。昭和59年度の入洞者数7万896人。洞口部にはニワトコ・ハナイカダ・ダイモンジソウ・チドリノキなどのほか,石灰岩地特有のクモノスシダがみられる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7193423