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鷹ケ穴
【たかがあな】


美祢(みね)郡秋芳(しゆうほう)町別府にある西秋吉台の代表的石灰洞。横穴の主洞を杉江(すぎえ)洞ともいい,この別称は発見当時の驚嘆した声「スゲーゾォ」に由来するという。洞の存在は古くから知られていたが,竪穴の下約42mにある網状型横穴は,昭和38年の山口大学洞穴研究会の発見に続く11次に及ぶ調査で明らかにされた。洞口の竪穴は一種の陥没ドリーネで,長径20m,短径15m。竪穴の南西側には,流水による半円状の断面を持つ垂直な溝がある。竪横複合洞に属する鷹ケ穴の支洞は41に及び,測線延長4,500mは秋吉台第1位。日本でも岩手県の安家(あつか)洞(8,000m),沖縄県の玉泉洞(5,000m)に次いで第3位。容積は12万m(^3)と計算され,県内では秋芳(あきよし)洞の42万m(^3)には及ばないものの,大正洞や景清(かげきよ)穴よりも大きい。横穴の主洞は,杉江洞に属する北本洞・中央本洞・南本洞と,これらに続く天霧洞および岡藤新洞から成る。北本洞は長さ200m,面積約4,000m(^2)以上あって鷹ケ穴の中で最大。洞口竪穴は中央やや南寄りの南壁側にあり,その下部には落石がたまり,「メメズ坂」や「ガラガラ坂」をつくる。中央本洞は,天井に飽和水帯時の名残が見られ,他の洞窟と比較して溶食微形態が良好に観察できる。南本洞は,狭隘部で分けられたホールが続く。中でも南本洞大ホールの南東部から東南への支洞「神々の座」は,二次生成物の発達が著しく,種類も豊富で鷹ケ穴屈指の名所。また,支洞「槍御殿」の景観もすばらしい。「夏実寛(なつみかん)ホール」から先は難所が連なる。水平天井が続く「エルドラド」「氾濫原」「希望通り」には粘土が天井まで堆積し,洞内段丘がある。「エルドラド」は直径約20mの洞内ドリーネ。「氾濫原」南西端からの「石門街道」は,二次生成物が発達した水平天井。その支洞「ダイヤモンドホール」は,色も純白を呈して美しい。さらに進んで50m下ると岡藤新洞へ出る。北本洞右洞北壁の猿支洞からは,ニホンザルの全身骨格が発見されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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