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竹島
【たけしま】


新南陽市富田に属する面積0.101km(^2)の小島であった。島名は,全島が竹で覆われていたことによる(地名淵鑑)。昭和30年代には東洋曹達工場敷地南岸から南へ300mの沖合いに位置し,徳山湾内に浮かぶ島の1つであったが,昭和40年頃から同工場西沖埋立地と竹島・中ノ島・西ノ島を結ぶ堤防が築造され,これらの島は人工的な陸繋島となり,その内側は工場地区の一部として埋立てが進められている。竹島は南北約700m・東西約150mの小島で,黒雲母花崗岩からなり,最高点は28m。東岸に狭い砂浜があり,その南岸に小さい波止場をもつ漁業を主とする小集落がある。早くから内海航路上の要地を占め,古代の有力豪族が占拠していたと考えられ,竹島には4基の古墳が残る。江戸期の「地下上申」によれば,当時(元文3年)の家数4・人数18うち男10・女8,石高は畑方のみで2石4斗余。また,富田村地方分の船5艘のうち2艘が竹島の所有。同書の絵図には対岸の仙島の田ノ浦に水田があり,この間に舟路が描かれていることから竹島の出耕作地であったとみられる。昭和初年頃までは竹島海水浴場への観光客が多く,生けす・塩湯・別荘など諸施設があった(南陽町誌)。現在は工場地の一角となったが,竹島の樹林は貴重な景観をとどめ,常緑のクスノキが多いことが特徴である(新南陽市史)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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