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俵島
【たわらしま】


大津郡油谷(ゆや)町向津具下(むかつくしも)に属し,向津具半島の西部油谷島の南西端にある陸繋化した島。面積0.01km(^2)。周囲約900m,最高所約30mで,無人灯台がある。向津具半島とは礫州によって陸繋島化され,満潮時には人工の飛石伝いに渡ることができる。全島アルカリ玄武岩(鮮新世)からなり,2つの岩山に分かれるが,周囲は海食によって削り出され,約20mの高さに玄武岩の柱状節理の岩壁が全島を巡って発達する。柱状節理は大部分が垂直に近く,一部は斜めに,または横臥する部分もあり,あたかも米俵の山が崩れ落ちるように見える。特に西端の海食棚には節理の断面がみごとな亀甲模様となって広くあらわれ,一大奇観を呈する。「地下上申」には「此石山不残塩俵なと積立候様ニ相見ヘ,其石の上に松抔少々御座候,右之故俵島と申伝候事」と由来を記す。「注進案」では「俵島 右米俵或ハ塩俵を積重ねたる如き岩にて御座候,根ハ一ツにて峰ハ弐ツ有,正面凡坤の方に当り候,次の図の前にあたり候方別而絶景にて,小口一尺余長三尺位の石段々に重なり,山の高さ凡十四五間,後ろに当り候方ハ石差径一尺余,不残小口石段々ニ重リ峰ハ芝原続キ候,山の高さ凡十八間位……古書に神功皇后三韓御征伐の時の粮米凝りて石と化したる跡ありと,今の向津具の俵島ならんと云」と述べ,俵島の図を載せている。昭和2年国名勝および天然記念物に指定され,付近の高原瀬・烏帽子岩・鯨瀬・平瀬など玄武岩柱状節理の岩礁や東に続く玄武岩丘の荒神山も指定区域に含まれる。この岩礁地帯は,向津具の大浦(おおら)漁村の海女たちにとってサザエやアワビ・ウニの好漁場である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7193538