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中尾洞
【なかおどう】


中尾東の穴ともいう。美祢(みね)郡秋芳(しゆうほう)町青景にある石灰洞。南北に細長い中尾台北部の頂上付近(標高182m)に開口する。大正10年に発見され,同12年3月国天然記念物に指定された。電灯の設備がなく観光客が少ないため,発見当時の新鮮な状態で保存されている。西南方約100mの中尾西の穴とともに代表的中位石灰洞で,洪積世中期から発達し始めた竪横複合型の立体洞。全体として北東に延び,測線延長約260m。洞口は頂の洞と呼ばれる陥没ドリーネ状の穴(径30m,深さ6m)の底に南面して開口し,現在は流入水を持たないが,かつては南北方向の石灰洞があり,北方から流入していたポノールが崩落したものと考えられている。そのため洞口部の入口の洞(口の洞)は落石の多い広間をつくる。広間から約30°の傾斜で北に向かって約25m下り,さらに約6.7mの断崖を降りると標高156mの中の洞に至る。ここから約10m下に底の洞がある。中の洞東端から4mの断崖を登り,溶食管の猫くぐりを抜けると,大正11年に金子義勝・恵藤一郎によって発見された広大な奥の洞に出る。奥の洞は標高165~175m,長さ約160m,幅約8mで北40°東に延びる水平洞。ポケット・キャビティ・ペンダントなどの溶食微形態が観察できるほか,石筍のスプラッシュカップやフローストン・カーテンにおいて特筆すべきものがある。奥の洞の装飾は,他の中位洞窟群と同様,厚東川の下刻に伴う地下水面の降下により排水されてから始まったものである。洞床から,ヤマイヌの下顎骨,ウサギの脊椎骨や四肢骨の化石が発見されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7193818