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長浜群洞
【ながはまぐんどう】


長門(ながと)市青海(おうみ)島北岸の中央部にある海食洞群。北長門海岸国定公園の西南部に位置する。かつて通(かよい)島と青海島とが砂州で結合した船越地峡の西側に続く海食崖下に,約60個の洞穴が約1km並ぶ。その西側には高さ30m,長さ70mの絶壁の壁岩が,船越側には獅子岩がある。山見鼻の東側から長浜群洞や静ケ浦を経て山島の浜付近までは酸性火山岩層の阿武層群青海累層上層部に,船越付近の分水嶺は最上層部の層序に属す。上層部は流紋岩質ガラス質溶結凝灰岩から成り,緻密で暗い基質の中に風化して白っぽくなった軽石レンズが,一定方向に押しつぶされたように並ぶ。日本海の荒波が定方向の節理に沿って浸食し,多くの海食洞と100mに達する垂直な断崖を形成。縞模様の岩壁が所々積雪のように白く見えるのは,猛禽類ミサゴの糞によるもので,萩出身の文筆家横山健堂はこの風景を海上アルプスと呼んだと伝えられる。しかし,大門(おおもん)のある岩島と山見鼻との間の狭水道の絶壁を呼んだとする説もあり,現在では青海島北海岸の男性的な海食景観の総称となっている。これらの観察には青海島自然研究路のほか長門市仙崎からの観光船がある。大正15年,国の名勝および天然記念物として青海島海岸線一帯が指定された。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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