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情島
【なさけじま】


大島郡東和町伊保田に属し,屋代島の北東約400mに浮かぶ島。面積1.11km(^2)。ほとんど平地のない沈水島で,最高点はほぼ中央の薬研岳(179m)。島の東側は急潮で知られる諸島水道を隔てて愛媛県津和地島と相対する。地質は大部分が領家変成岩類に属する珪質縞状片麻岩の硬い岩石からなり,西端と南岸の一部に白亜紀の花崗閃緑岩の浸食にもろい岩石があらわれている。北東岸の小湾頭に伊ノ浦と大畑,南東岸の小湾頭に本浦と仏ケ浦の集落が立地する。交通は,伊保田港から本浦港まで海上4.5kmの間を1日5往復の町営渡船が就航。寛文12年伊保田村の給領主村上掃部が田畑6~7町歩の開作を藩に願い出て,無人島であった情島の開拓が始まった(東和町誌)。「地下上申」では,石高16石3斗余,家数8,山役石3石とあり,島名由来について「此島之上下瀬戸潮早之所ニ付,往来諸廻船其外汐掛りいつれ灘口之湊ニ付,情島と名付たるよし申伝候事」とある。島の周辺は好漁場で,島民の多くは漁業に従事した。諸島水道の急潮(6ノット)の一本釣り漁業(タイ・ハマチ)が盛んで,梶子制度といって,昭和10年代には愛媛県三津ケ浜方面から雇用した少年たちが60人もいたといわれる。昭和26年児童福祉施設あけぼの寮が大畑の情島小・中学校に隣接して建てられ,同54年町営の簡易水道が通水し,電力も串ケ瀬瀬戸を架線で送電している。周辺は瀬戸内海国立公園第2種地域に含まれている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7193906