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見島
【みしま】


萩市見島に属し,浜崎港の北北西44kmの日本海に浮かぶ島。面積7.85km(^2)。浜崎港との間を1日2往復の定期船が約2時間で結ぶ。集塊岩を伴う玄武岩の溶岩層が積み重なり,起伏のある丘陵性の地形をなす。ほぼ三角形の島で,中央西寄りの高地のイクラゲ山(176m)が最高点。西海岸は約4.5kmにわたる礫浜と海食崖の続く直線状の断層海岸だが,東海岸は30m以上の断崖や海食洞門をつくる観音崎,高さ60mの巨大な安山岩岩脈からなる日崎が突出して変化に富む海岸線をつくっている。南岸には八町八反と呼ばれる潟湖(ラグーン)の陸化した沖積低地があり,水田帯となっている。対馬暖流の影響で暖かく,霜を見ることはほとんどなく,早くから耕地化が進み,島内の植生は日崎にわずかに原生林が残るほかはクロマツなどの2次林が高地や斜面に見られる。集落は,南岸に本村,北東岸の小湾頭に宇津がある。島の南東岸横浦の礫州に,国史跡見島ジーコンボ古墳群がある。農地は,平坦な低地の水田を中心に,浅い谷筋に沿って広く棚田や段畑が開かれているが,河川のない島では干害を受けやすく,灌漑は多く溜池に依存している。農産物は水稲や葉タバコのほか,大根・キュウリ・キャベツなどの野菜が多く,大根は加工し特産見島タクアンとして出荷している。また,見島ウシ産地として国天然記念物に指定されているが,大正7年頃の600頭が,昭和50年には33頭に減少,保護策が講じられている。漁業は本村ではブリ・アジ・イワシをとる巻網や刺網,アマダイの延縄,イカなどの一本釣り,宇津ではウニ・サザエ・アワビの採貝漁業が中心。近年,釣り客やキャンプ客も多く来島する。九州まで信仰圏をもつ宇津観音堂,鬼揚子(おにようず)と呼ばれる正月の雄壮な行事大凧揚げなど,文化財や民俗にも観光上見るべきものがある。なお国境の島でもある見島にはイクラゲ山一帯の高地に,航空自衛隊のレーダー基地がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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