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柳井平野
【やないへいや】


県南東部に位置し,熊毛半島の基部に発達した沈水性の堆積平野。柳井川や土穂石(つつぼいし)川・田布施(たぶせ)川が形成した谷底平野と平生(ひらお)湾頭を結ぶ平野で,その中央に残丘性の小起伏山地赤子山(230.6m)が孤立する。平野を囲む石城山・千坊山・杵崎山・大平山などの山麓が発達した洪積台地には多くの古墳や弥生遺跡が分布する一方,縄文遺跡は柳井市の黒島遺跡・与浦遺跡,熊毛郡平生町の岩田遺跡のように,熊毛半島の満潮面下に包含層を持つものが目立つ。縄文晩期の紀元前3世紀頃をピークとする海水準低下と,その後の安芸灘造盆地運動の影響で,この付近では数段の海岸段丘や河岸段丘が小規模ながら観察できる。弥生中期からの古代小海進(平安海進)は10世紀頃をピークとし,現在より海面は上昇し,柳井水道が熊毛半島を島にした。のち江戸期には,田布施川流域・河口部や平生湾岸での開作が進み,特に平生湾内では阿田多島以北の平生町内の沖積平野約7km(^2)のうち,地形図上計測で中世~近世の干拓地が約64%を占める。柳井川河口の北岸には姫田川や片野川による小扇状地が海岸に向かって発達しており,姫田川以西の扇端には商港柳井津が発展した。同河口の堆積は埋立てにも便利で,昭和58年の1号埋立地14.9万m(^2)(塩浜工業団地)に引き続き,2号埋立地65.1万m(^2)の造成が進む。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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