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穴吹川
【あなぶきがわ】


剣山を源流として美馬郡の木屋平(こやだいら)村と穴吹町を流れ,吉野川に注ぐ県中部の川。上流は木屋平川ともいう。延長41.9km,流域面積202.0km(^2)。横谷部は峡谷をなし,木屋平村北東部川井~三ツ木間は剣峡の名がある。流域は大部分が山地で,過疎地の1つである。川の利用としては,明治40年以後に行われた流材(地元でいう狩り川),昭和初期からの口山発電所などによる小規模な水力発電,元和年間につくられた穴吹町土場(どば)の立堰(たつぜき)による灌漑などが主なものであるが,前二者は現在見受けられない。山腹の緩斜面は古くから居住地になっているが,その多くは近い地質時代の地滑り堆積地で現在も末端が滑動している。木屋平村森遠(もりとお)はその好例である。昭和51年9月の台風17号に伴う豪雨により,木屋平村と穴吹町古宮地区では崩壊が多発し,木屋平村川上地区は谷底の様相が一変した。中流域は中世阿波山岳武士の本拠であった。藩政期以降は剣山講の人々に山瀬―木屋平―コリトリ―富士ノ池を結ぶ剣山本街道として道路開通まで重視された。川井峠から見ノ越(みのこし)に通じる国道439号の大半は上流に沿うコースをとる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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