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伊笠山
【いがさやま】


讃岐山脈に属し,阿波郡の阿波町と市場町境の山稜上(752.8m)の三角点から,さらに市場町側に枝分かれした山。標高704.8m。山頂には伊笠神社が祀られる。地形図には山名がない。「阿波志」に,「藺笠祠(いがさし),犬墓山頂にあり,相伝ふ新田氏の族遁れ来り,常に笠を戴いて行く。すでに死し,祠を作りて之を祀る」とある。犬墓山は東麓の村名による。新田氏は南朝の忠臣新田義貞の一族で,北朝の足利氏に追われて四国に渡り,阿波・伊予で一時的に勢力を持った。「阿波志」によれば,南朝方の武士が藺草の笠を持ち歩いたのが山名の由来となる。伊笠山(阿波名勝案内),三ケ月丸(大俣村史)という山名は山の形に由来するものである。犬墓村の村名には弘法伝説が残されており,大師が修行中に死んだ愛犬を埋めたと伝えられる。山頂の伊笠神社は武甕槌命などを祀る。山頂は大正初期に老木を伐採し,現在はハリギリ・アオハダ・ネジキ・ドウダンツツジなどが茂る。東方の山腹に井内牧場があり,そこまでは車道が通じている。牧場から山頂まで約40分。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7195127