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石堂山
【いしどうやま】


落合峠の北東約3km,矢筈山の北西1.8kmに当たる地点に位置し,美馬郡一宇村と三好郡東祖谷山(ひがしいややま)村の境にある山。標高1,636m。頂上には自然の石室があり,大工小屋石と呼んでいる。山名は頂上の石室(堂)から名づけられた。頂上から少し西に高さ約8mの方尖塔の石がある,これを御塔石と呼んで,この山のご神体としている。すぐ近くに踏石があって雨乞の時に土地の人々が踊ったといわれる。「阿波志」には,「石堂祠,櫟生山(いちうやま)木地屋名にあり,相伝う某帝を祀ると。東南は奇峻,西北は閑広なり。讃予二州瞭然として目にあり。春冬二時,雪深く登渉すべからず。絶頂に石あり,削成するが如く,高さ十二丈ばかり。南高く,北低く,石扉あり,これを覆う,よりて名づけて石堂という。祀りて主となす。前に盤石あり方六尺,土(地の)人雨を乞う毎に就きて以って舞踏す。名づけて躍石という」とある。この神社は山頂にある。約3km離れた北東に延びる稜線(美馬郡半田町と一宇村の境界)上に前堂の石堂神社がある。祭礼は旧6月27日で昔は白衣の山伏姿の信者でにぎわったが,大正期頃から山伏姿は見られなくなった(新編美馬郡郷土誌)。剣山国定公園に属し,中腹はブナの原生林が残るが,山頂は広く草原状をなし,シコロフウロ・ソバナ・クガイソウなどが咲く。登山道は半田町大惣,一宇村古見,東祖谷山村深淵(みぶち),矢筈山からの縦走路などあり,最短コースは深淵からで約2時間。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7195159