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大麻山
【おおあさやま】


弥山(みせん),十八(じゆうはち)山とも呼ばれる。鳴門市の西部にある山。讃岐山脈の東端に位置する。標高538m。市内の最高峰である。南の山麓に大麻比古神社がある。「阿波志」に,「大麻山,板東村にあり,孤峰にして高峻,深樹おううつ。大麻彦祠あり,因って名付く。城北の山,これを第一となす」とある。神社によって名づけられた山である。古くから信仰の聖地であったと考えられる。標高350mくらいの山腹には丹井(あかい)と呼ばれる湧水があり,どのような干天にもかれたことがないという。7合目から上には自然林が残されており,樹木ではクマノミズキ・カナクギノキ,草木ではキクムグラ・ミヤマチドリ,シダ類ではシシガシラ・クマワラビなどが生えている。野生のホンドザルが多数生息する。サルは昔から多く,ある猟師が大麻山の狒々を鉄砲で退治に行くと釣鐘で身を守って,どうしても撃てないので計略をめぐらし,いったん逃げると見せて追ってくるのを撃ち取ったという伝説も残っている。地質は和泉層群に属する砂岩がちの互層。山名の由来となった大麻比古神社は忌部氏の神,天太玉命と猿田彦命を祀る。猿田彦は天孫降臨の際に道案内した神で,交通案内の神として名高い。また徳島の名産のスダチは大麻山の見える所でないと生育しないといい伝えられ,寛政5年の大麻比古神社文書に既にその記事がみえる。山頂には延喜式の式内大社といわれる大麻比古神社の奥の院がある。大麻山県立自然公園のうち。登山道は神社からが一般的で約2時間かかる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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