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大滝山
【おおたきやま】


美馬郡脇町と香川県塩江町との境界線上にある山。竜王山の東方約7kmの地点にある。標高946m。「阿波志」に,「岩倉山(村)の西北にあり,坂道四千余歩,四顧涯際なし。北は讃岐に臨み,遥かに播(磨)備(前)を見る。寺あり即ち大滝寺,半腹に窟あり,北に瀑布あり」とし,東麓・南麓・西麓からの登路を示している。昔,大滝山と高越山が吉野川を挟んで大闘争をし,互いに石を投げあったために,双方の山の石がすっかり入れ代わってしまったという伝説がある(阿波伝説物語)。この伝説は大滝山の修験道と高越山の修験道の対立を表わしたものである。山頂直下にある大滝寺は縁起によれば,奈良期に僧行基が香川県側から登って寺を創建し,平安期の延暦年間に弘法大師が修行に登って,その時に西照大権現像を彫刻したとある。弘法大師の自著「三教指帰」の「阿国大滝岳」を現在,ほとんどの説が阿南市の太竜寺山としているが,地元ではこの大滝山だという説もある。大滝寺は四国霊場番外の二十番寺でもある。寺の上に西照神社があり,古くは西照大権現と呼ばれていた。神社の直ぐ上が山頂になる。大滝山は香川県が県民の森に指定しており,案内板・見取図・展望台などを設置している。頂上付近は原生林が保存されており,ブナ・エゴノキ・アサガラ・マユミ・オクヤマヤナギ,カエデ類・ツツジ類が繁茂する。林床にはミヤマヨメナ・ミヤマカタバミ・クロフネサイシンなどの珍しい草木が見られる。地質は和泉帯。登山道は脇町,清水峠,香川県塩江町などから車道が通じている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7195435