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大森山
【おおもりやま】


那賀郡木頭(きとう)村の中心地である出原の北西約2kmにそびえる山。標高1,093.9m。山頂から尾根続きに2km西方の八早山にかけて見事な針葉樹の人工林が広がる。昭和6年に集落の共有林で,採草地であったものを買い取り植林した。1町当たり2,000本で60ha。スギ7割,ヒノキ3割の割合。山頂の東方に60m四方ぐらいの草原があり,それを石垣で囲んである。地元では善六窪と呼んでいた。諸説あるが,シシガキであろうという。古くから1,000mの高さまで焼畑農耕が行われ,シシ(猪)の害を防ぐために積まれた。南の麓,和無田(わんだ)集落の八幡神社は応永8年の棟札のある古い歴史を持つ。神社に木の狛犬があり,祭礼には社殿から出し,首に注連縄をかけるが,この注連縄を狩に持っていくと獲物が多いと奪い合う。また祭り以外には狛犬を外に出さないのは,イノシシが作物を荒らすからだという。イノシシ除けの神として信仰されている。狩猟にかかわる伝承があるのは古くから狩猟が行われていたからである。シシは県内では猪を示すが,この地方では最も数の多い鹿を示した。牡鹿をカジシ,牝鹿をメガと呼んでいる。現在は少なくなったが,野生ザルが出没する。地質は秩父帯に属し,砂岩・チャート・石灰岩の互層中にマンガンを含有する。頂上の東方500mの地点で,昭和21~28年にマンガン鉱山が操業していたが,現在は休山中である。中部山渓県立自然公園に属し,東側の麓の那賀川は歩危峡と呼ばれる紅葉の名所である。登山道はいくつかあるが,出原からが一般的で,所要時間は約1時間30分。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7195495