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大山
【おおやま】


讃岐山脈に属し,香川県引田町との県境上で,板野郡上板町の北部に位置する山。標高691.3m。山容はゆったりと雄々しい。頂上にはマイクロウエーブの中継塔がある。山頂の南側には黒岩神社がある。山名は中腹の仏王山大山寺に由来する。寺の開基は弘法大師とされる。本尊の千手観音は中国の高僧恵果から弘法大師が授かり持ち帰ったものといい伝えられるが,藤原期のものと推定されている。大治元年の銘のある銅製経筒は国重文である。寺は四国霊場番外二十番の第1番札所である。毎年正月の第3日曜日に力餅という競技がある。160kgに及ぶ餅をどれだけ長く運べるかを競う行事である。戦国期に,七条城主出羽守兼仲が大山寺から授かった力で,牛と思い石地蔵を切ったという故事に基づく。寿永年間に屋島にたてこもった平家を背後から討たんとした源氏が義経を総大将として小松島に上陸し,大山周辺を越えて北進した。そのため義経腰掛松,義経馬墓,義経桜など伝説にちなんだ名称が多い。寺の近くに青少年野外センター(キャンプ場)がある。地質は和泉層群の砂岩がち互層よりなる。山頂付近は,松が優占する落葉広葉樹の二次林で,アセビ・アラカシ・カラマツ・コナラ・ミツバツツジなどが茂る。林床にはタチツボスミレ・ヒメハギ・アマドコロなどが咲く。ワラビ・ゼンマイ・イタドリなども多い。登山道は頂上まで大山寺のほか泉谷から車道が通じている。東方約1.5km地点に讃岐への峠,大山越えがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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