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海部山地
【かいふさんち】


四国山地東部にあり,那賀川以南の山地の俗称。高知県との県境,四ツ足峠から南下し,赤城尾山を経て西又山で直角に東向し,甚吉(じんきち)森を経て東進する。この間,高知との県境をなす。湯桶(ゆとう)丸付近で分岐し,一方は県境をなしつつ南下し,盟主を貧田丸とする。主稜はさらに東進し,金瀬(かなせ)・吉野丸・鰻轟(うなぎとどろき)山など1,000mを超える山々から阿南市の矢筈山・後世山と高度を落しつつ蒲生田(がもうだ)岬まで延びる。県南部全体と関連し,阿南市および周辺10か町村を区域とする。現在,主稜を境とし那賀郡と海部郡との区分をしているが,那賀川沿いの国道195号が整備される昭和26年までは,木頭(きとう)村(那賀郡)は海部郡に属し,同一行政区域であった。最高峰は赤城尾山1,436mで,1,000mを超す山々15座を含む。高温多湿で山頂まで樹木が繁茂し,原生林もよく保存されていたが,最近の林道の発達により,最奥の山頂まで伐採・植林が行きわたるようになった。平野部に近い玉厨子山・後世山・鈴ケ峰などごく一部の低山以外には,信仰の対象となることもなく,ハイキング・登山にも縁の薄い山が多い。最奥の木頭村南部ではニホンカモシカの生息が確認されている。またイノシシの多い山として狩猟のための登山も多い。山地利用はほとんど林業に依存し畑作は少なく,特産物もユズ・クリ・茶などである。一方,渓谷が深くアメゴ漁が盛んだが,養殖はまだわずかである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7195583