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鶴林寺山
【かくりんじやま】


勝浦郡勝浦町にある山。那賀川と勝浦川とに挟まれ,阿南市と勝浦町との境界から約300mほど勝浦町側に寄る。標高515.9m。稜線下に四国霊場八十八か所第20番札所鶴林寺がある。山名の由来もこの寺名による。「阿波志」には,「鶴林山,敷地村の南にあり。雑樹散生す。その上平寛にして,弥望(遠くを望むこと)数十里。滄溟(川)南におれ,鶴林寺上にたつ。その雄麗闔(全)郡比ぶるものなし」とある。国土地理院の地形図には山名の記載はない。山名の由来となった鶴林寺の縁起によれば,弘法大師が霊夢を見て,この山に登ると林中に光る物があり,近寄ると2羽の鶴が黄金の地蔵菩薩を守護していた。そこでその木を切って地蔵菩薩を彫り本尊としたという。現存の地蔵菩薩像は藤原期の作品で国重文である。他に県文化財として,三重塔・地蔵菩薩来迎図,県史跡に丁石がある。「義経記」の「阿波の国につきて,焼山,つるが峰を拝みて」というのはこの寺のことである。那賀川を挟んで太竜寺山と対峙しており,ともに札所でもあり,金剛界(太竜寺)と胎蔵界(鶴林寺)として対等に扱われた。「阿淡年表秘録」には万治3年8月「将軍家御不例に付き御国大竜寺鶴林寺淡州千光寺にて二夜三日の護摩執行を仰付らる」とあり,文献は多い。無線中継塔のある頂上は寺から数分登る。山頂付近にはヒノキ・スギ・ソヨゴ・カラマツなどが茂る。地質は秩父帯に属する。麓の生名より寺の直下まで車道が通じている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7195601