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勝浦川
【かつうらがわ】


勝浦郡上勝町から勝浦町を流れて徳島市東南部で紀伊水道に注ぐ川。延長49.6km,流域面積224.0km(^2)。剣山地の雲早(くもさ)山東方と高丸山を水源とする。上流~中流は勝浦川盆地の白亜系で知られる中生代の地層を深くうがち複雑な流路をとる。高位段丘面形成期には,勝浦町から小松島市南部への東流も認められる。飯谷(いいたに)の横谷を抜けたのち,流路は徳島市南部から小松島市金磯(かないそ)町までの間を移動している。現在の流路は17世紀に徳島藩が,井口から千代ケ丸にかけてのいわゆる前原堤を建設し固定したものであるが,堤防補強が終わる明治中期までは度々決壊し,小松島は洪水に見舞われた。天保14年の七夕水と慶応2年の寅の水の被害が特に大きかった。神田瀬(かんだせ)川や芝生(しぼう)川は勝浦川の旧流路である。当時の勝浦川は交通路として重視され,大正末期まで高瀬舟が横瀬~河口間を上下していた(小松島市史)。奥地の材木はすべて筏で流送していたが,明治42年上流の落合から殿河内(とのがわうち)奥までの間に森林鉄道が開通し,下流側も道路の整備が進んだので,以後は陸送に切り替えられた。中流の勝浦町坂本では江戸末期に県内ではじめてみかんを栽培し,付近は近年までみかんどころとして栄えた。昭和35年度から勝浦川総合開発事業実施調査が始まり,その中心事業として上勝町正木(まさき)に,洪水調節・灌漑・工業用水の確保・発電を目的とする多目的重力ダムが建設された。発電は下流の勝浦町棚野(たなの)の勝浦発電所で行っている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7195626